「過剰診断、今は判断できず」20年規模の甲状腺がん追跡調査必要
甲状腺検査を巡り、会合を開きました。
東京電力福島第1原発事故後、福島県内で子どもを対象に実施している甲状腺検査を巡り、県民健康調査検討委員会の甲状腺検査評価部会は1日、福島市で会合を開いた。鈴木元部会長(国際医療福祉大クリニック院長)は甲状腺検査について「過剰診断かどうかは現時点で判断できない」と述べ、20年程度にわたり甲状腺がんの発生率を追跡調査し、その結果を踏まえて議論する必要があるとの見解を示した。 甲状腺検査を巡っては、治療する必要がない甲状腺がんを検査で見つけ、手術しているのではないかという「過剰診断」を指摘する意見が一部で出ている。 会合では、第1原発事故に伴う県民の健康に関し、国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR=アンスケア)がまとめた報告書の日本語版について、委員が説明を受けた。 報告書によると、県内で甲状腺がんの発見率が上昇している要因として、高精度の検査が指摘された。ただ、検査で見つかったがんが、将来的に受診者に悪影響を及ぼすかどうかを判断することは、現時点では難しいとされている。 鈴木氏は「検査で、普通の臨床で見つかるがんよりも小さいものが出ているのは事実。その数が多いのも事実だ」との認識を示した上で「しかし、それが早期診断なのか、過剰診断なのかは議論が必要で、長期的なフォローがないと結論が出ない問題だ」と述べた。
福島民友 8/2(火) 11:08配信