子どもの悩みを施設側に代弁…児童福祉法改正で注目高まる
子供アドボケイトが注目されています。
自分から声を上げられない子どもの意見を聴き、代弁する支援者「子どもアドボケイト」が注目されている。一時保護所や児童養護施設などで暮らす子どもが意見表明をしやすいように、都道府県に活用を求める改正児童福祉法が6月に成立したからだ。先行して自治体などが取り組むが、必要な資格や技術の規定はなく、民間団体が認定制度を創設する動きもある。(生田ちひろ)
「親に書いた手紙の返事はいつ頃届くのか、知りたいようですよ」。7月下旬、和歌山県の児童相談所で、アドボケイトの家本めぐみさん(62)が、子どもの声を職員に伝えていた。
和歌山県は昨年4月から、一時保護された子どもにアドボケイトの派遣を始めた。子どもの権利擁護に理解が深い弁護士や社会福祉士ら約30人が担い、家本さんは子どもへの暴力防止に取り組む民間団体の代表だ。
訪問時には、2人きりの部屋で「あなたの気持ちを伝えるために来ているからね」と優しく話しかける。雑談の中で生活への不安を漏らすことがあれば、職員に伝え改善につなげる。
これまでに延べ約100人が利用し、「家族や友人に早く会いたい」「食事の量を増やしてほしい」など様々な声が上がる。虐待を受け、大人に話を聞いてもらった経験が少ない子どももおり、児相職員で弁護士の土居聡さん(41)は「希望が全てかなうわけではないが、意見が尊重されると感じてもらいたい」と話す。
読売新聞 2022/09/02 15:00