児童福祉、多面的に学ぶ
ゆりかご出身の宮津さんが講師となり、オンライン授業が行われました。
県立新羽高等学校(松本靖史校長)の3年生の自由選択科目「発展保育」で児童福祉を多面的に学ぶため、「こうのとりのゆりかご」出身であることを公表した、熊本県立大学1年、宮津航一さんのオンライン講義が10月21日に行われた。
「発展保育」とは、教科をまたいだ学校設定科目。将来保育士や幼稚園教諭を目指して上級学校に進学予定の生徒が主に選択している授業だ。
今回の講義のきっかけは、担当する森下姫代子教諭が、授業に使う教材を動画サイト上で探していたところ、宮津さんが熊本県の慈恵病院に設置されている「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもであることを公表したニュース動画を見つけたこと。
森下教諭は、授業で宮津さんの生い立ちや、今幸せに生活し、高校生のころから子ども食堂の運営も行っているなどの活動を知ることで「保育者によって子どもの未来が変わることを学べれば」と考えた。そこで来校しての講演を依頼したが、大学の勉強もあることから一度辞退に。
ところが宮津さんの活動を授業で知った生徒らから「オンラインなら話を聞けるのでは」と提案があり、再度打診したところ、その熱意が通じ、時間に余裕がある後期なら、とオンライン講義が実現することとなった。
当日の授業で宮津さんは「感想やメッセージをたくさん頂き、嬉しかった」とあいさつ。事前に送られていた質問にてきぱきと答え「自分は幸せだったが『ゆりかご』に批判があることも知っており、高校生までは里子であることを友人にも話せなかった」など率直に思いを語った。
生徒らは、宮津さんが運営している子ども食堂や新しく都内にできる「ゆりかご」に対する肯定的な思いなども積極的に聞き取り、貴重な学びの時間を過ごしていた。
タウンニュース 2022年10月27日